織物のない時代、八重山ではクバの葉などを身に着けていたといわれ、14世紀末には上布の始まりと思われる苧布の記録が残されています。八重山上布は琉球王朝時代、人頭税の御用布として琉球王府の監視のもと、その精巧な織物が完成しました。
八重山の自然の中で育った草木を糸や染料とし、織りあがった上布は南国のまぶしい太陽で日晒しをすると、さらに深みのあるこげ茶色へ発色します。その後、色止めのため海に晒す。海水に晒すことによって絣文様が鮮やかになり、地色は白く晒されます。
八重山の自然の恩恵を受け、島のこころをひたすらに織り込んだ八重山上布。植物性の苧麻の繊維を原料にして織られており風通しもよく、夏の衣服としては最適です。通気性にも優れ、天然の色合いと素朴な絣柄が、いまもなお多くの人々に愛用されています。
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